教えて!心のドクター「ストレスケアの再生ストーリー」インタビューstart! 第1回:『良い内省と悪い内省とは?~「なぜ」型内省と「何」型内省の違い~』

脳科学、心理学に基づいた研究結果をひもときながら、ストレスケアについて精神科医の阿部正人先生に伺う、教えて!心のドクター「ストレスケアの再生ストーリー」。実践で役立つ情報をお届けします。第1回目は「内省」についてです。『良い内省と悪い内省とは? ~「なぜ」型内省と「何」型内省の違い~』

精神科医 阿部正人先生 インタビュー (株)キャリパース 伊東明子

人間が何か行動し、望み通りの結果が得られなかった場合、多くの場合は、内省します。一般的にこれは、次へのフィードバックとなり、良い結果をもたらすと考えられています。しかし、その内容によって結果が180度異なることが研究結果で明らかになりました。

ターシャ・ユーリック)出典:http://www.dhbr.net/articles/-/5215?page=4

Q:良いとされる習慣も、ほんの少しの違いによって、ときには、悪い結果になってしまうこともあります。座禅など自分自身をよく観察することは「内観」と言われ、自己成長には必要なプロセスですが、特に、自分を責めすぎてしまう傾向の人にとって、一人で深く掘り下げることは、ネガティブスパイラルに陥る危険性もあります。そこで、前述の研究結果を踏まえながら、日々の生活における内省のポイントについて教えてもらえますか?

A:内省自体、主観的なもので、その内容はその人の価値観、信念に100%支配されます。しかし、その志向するところによって、その後の結果がまるで異なるということです。良い内省と悪い内省がありますので、それぞれの内省についてポイントを整理してみます。

1.「なぜ」型内省について

まずは、悪い内省の例として、「なぜ」型内省を取り上げてみます。

・これは、「原因追求型」で、あれこれ考え込んでしまうため、満足度、幸福度が低くなります。

・また、失敗を恐れ、行動を避ける行動パターンになるため、より満足度、幸福度が低くなります。

 

Q:もう少し詳しく教えてもらえますか?

A:はい。「原因追求型」の内省は、そもそも原因はわかりにくいので、フラストレーションがたまり、内省の効率が悪くなり、あれこれ考え込んでしまうということです。原因がわかりにくい理由は2つあります。

①意識に働く「認識フィルター」の問題:自分独自のフィルターを通した見方になるので、見えないところが多いということ。特に、自分の原因は見えにくい(盲点が存在するため)と言われています。つまり、自分の内面にないものは見えないということです。

②恐怖感によるIQの低下:自分の欠点が暴露される、また、責任追及などの恐怖が先立ち、IQが低下します。それによって、正常な思考、認識が難しくなって、現実が見えにくくなるのです。

さらに、「原因追求型」の内省は、次の大切な2つの機会を失うことにもなるのです。

①犯人探しに意識が向かいすぎると、自分の能力向上のチャンスを逃す:犯人探し(自分が犯人?の可能性も・・)に意識が向かい、この時自分の責任を回避しようとする防衛本能が働きます。これにより他者の責任を探すことに意識がより強く向かうため、せっかくの自分の能力向上のチャンスを逃すことにもなります。

②結果に対する良い意味付けをする機会を失う:さらに、意識が原因に向かうことにより、その結果についてその意味を多角的に検討する機会を失い、唯一「失敗」という評価で固定してしまう。そのため、気分が落ち込んでしまうのです。

Q:「なぜ?」と原因を問い詰めてしまうと、負のスパイラルに陥ってしまうということですね。「考え過ぎは、良くない」とわかっていても、その状態から抜け出すことができず、達成感や幸福感を感じられなくなってしまうということでしょうか。

A: そうだと思います。こうした対応をする傾向のある人は一般的に気分が落ち込んだ状態にありますので、IQが低下していて、効率的に考えることが難しい状態が続きます。 そのため、この負のスパイラルから抜け出すことも難しくなり、結果として延々と続いてしまいます。しかし、時間がかかる割には効果的な対応へと移れることは少なく、達成感、幸福感を感じることが少ないです。行動の結果に対しネガティブな感情が強くなり、行動を避けるようになり、より幸福感を感じる機会を失うということになります。

Q:ありがとうございます。では、次に良い内省というのはどのようなものなのか教えて頂けますか?

2.「何」型内省について

A:良い内省として、「何」型内省を取り上げてみます。

・これは、「解決策追求型」、つまり、目的志向の内省ということです。

・解決策を見出すことが目的なので、満足度、幸福度が高くなります。

・失敗を成長のチャンスと捉え、より積極的に行動するので、より満足度、幸福度が高くなると考えられます。

 

Q:もう少し詳しく教えてもらえますか?

A:はい。起きた結果に対し、原因でなく解決策を意識する時、当然、目的とのギャップが問題となりますので、自然に目的に意識が向かいます。つまり目的志向となります。常に目的さえ意識できていれば、どのような結果が出たとしても、それを目的達成に活かすことができます。つまり、すべての結果を成功に近づくのための貴重な1ステップと見なせるため、確実に成功に近づいていると実感できるのです。

起こった出来事、客観的事実をもとに、対策を立てるので、そこには責任追及とか犯人探しといったネガティブな感情を引き起こすものが入らないので、常にIQも高く維持でき、効果的に進めることができるのです。

Q:意識が問題解決という目的に向かうので、ネガティブスパイラルに陥らないですむのですね。確かに、”うまくいっても、いかなくても、淡々と行動できる人”は成功者に多いですね。客観的に物事を見て、失敗は一つのステップにすぎないと思える人は、達成感や幸福感を多く感じられるということでしょうか。

A: はい、そうですね。こうした対応をする人は一般的に、うまく行かなかったことを単純に一つの出来事として、その解決策を探すので、成長します。しかも、ネガティブな思考が邪魔しないので良いアイデアが出やすい→うまくいくことが多い→達成感を味わう事が多い→幸せになる。

これを繰り返すことで、「失敗→解決策を出す」というパターンが出来上がり、その都度、成功に近づくことが実感できるので、行動の結果に対し、結果がどうであれ常にポジティブな意味付けがなされると考えられます。また、失敗を成長のチャンスと捉え、より積極的に行動する行動パターンが定着します。よって、満足度、幸福感を感じる機会が増えると考えられます。

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「なぜ」型内省は、出口のない「答え」を追い求める旅のようなもので、効率が悪い。一方、「何」型内省は、問題解決に焦点を当てているので、集中した思考状態となっている。たとえ失敗したとしても「次に何ができるのか?」と問い直して、目的を目指し積極的に行動することで、人は達成感や幸福感を感じられるようになってくる・・今回の対談でそのことをあらためて感じました。

『良い内省と悪い内省とは? ~「なぜ」型内省と「何」型内省の違い~』について、ご理解頂けたでしょうか?今後もまた、脳科学、心理学に基づいた研究結果をひもときながら、ストレスケアについて実践で役立つ情報をお届けしたいと思います。

(株)キャリパース代表  伊東明子プロフィール:心×才能を拓く専門家 伊東明子です。一人ひとりに与えられた才能、魅力(GIFT)に気づいて、不安を手放し、心を軽くする「未来展望コンサルティング」、リックスしてパフォーマンスをあげる「メンタルトレーニング」、企業、医療、介護現場の人財育成・離職防止サポートでストレスケアの普及活動をしています!

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心のドクター阿部正人先生のプロフィール:

精神科医 医学博士 精神保健指定医、精神保健判定医

東京大学工学部精密機械工学科卒業。精密機器メーカー 研究開発部門勤務。その後、秋田大学医学部に再入学

秋田大学医学部附属病院 精神科入局 秋田県立脳血管研究センター神経内科、同センター脳卒中診療部 勤務後、市立秋田総合病院 精神科等で勤務。長年、地域の基幹病院で児童から高齢者まであらゆる精神疾患の診療に携わると共に、精神科救急、一般救急外来での救急業務にも従事。2009年には、「精神科病棟入院中の患者さんを対象とした静脈血栓塞栓症の予防と早期発見に関する研究」で日本総合病院精神医学会 学会賞。これまで、精神医学に加え、心理学、脳科学、NLP(神経言語プログラム)、催眠療法、コミュニケーション、感情のコントロール法など幅広く学ぶ。

著書に「手放すためのストーリー」~もっと心が自由に軽くなる♪

 

 

 

 

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